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2011年1月19日水曜日

創作おにぎり童話。

先日、米粉のパンの睦実さんに遊びに行って
インスパイアされて、こめ物語をつくってみました。
それでははじまりはじまり〜


うちのばあちゃんは毎朝おにぎりをむすぶ。
でもみんな朝ぎりぎりまで、ごはん食べるより
寝てたいから、ばあちゃんのおにぎりはだれも食べない。

「たかよし、おにぎり食べていかんね」
「時間ない。コンビニでパン買うからいい」

ばあちゃんはむすんだおにぎりを必ず仏さんにそなえる。
いっしょにろうそくをつけて、線香をたく。

「ばあちゃん、せんこうくせえ」
「せんこうは仏さんの食べもんだから、たかんな、仏さんが食べられん」

おれの部屋は、ばあちゃんの部屋のとなり。
ふすまが、いつもせんこうくさい。


ばあちゃんは夜8時になると寝る。
朝4時に起きる。
おにぎりむすぶ。
毎日そのくり返し。
「たかよし、おにぎり食べてかんね」

おれはいつも、帰ったらテレビ見て、ゲームして、
寝るのは、たいてい1時すぎ。朝起きられん。


夜寝てたら、空からばくだん降ってくる夢を見た。
どーん。ちゅどーん。
違った、ばくだんじゃない。
「地震や、大きい!」
ばっさーん。ぐらぐら。
地面が割れると思うくらい大きい地震やった。
本棚倒れた。ガラスが割れた。
部屋から出れんようになった。

「ばあちゃん、地震や、閉じ込められた、部屋から出られん!」
「たかよし、生きとんのやな、大丈夫や、こんなん、
B29に比べたら、なんでもあらへん」


ふすまを破って、ばあちゃん、
ほとけさんのおにぎり、差し入れしてくれた。

ばあちゃんのにぎりめしは
せんこうとハンドクリームのにおいがした。
うまかった。

助けがくるのは、しんけん、時間がかかった。
きたとき、そうとう、うれしかった。

ばあちゃんは、あたまをちょっと怪我してて、
入院して検査するけど、すぐに退院できるんやって。

ばあちゃん、退院したら、おにぎり食ってやるから、はやく元気になれよ。





(文章・おにぎり すずめ作 2011/1/17)




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