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2010年12月6日月曜日

荷台にのって、牛蒡を掘りに 奈良、榛原「陽光ファーム」1

陽光ファームの夕暮れ。

近鉄大阪線にのって、大和朝倉駅をすぎたあたり。それまで平坦な大和盆地を走っていた列車は、長い谷をゆっくりとのぼりはじめる。大和盆地はなだらかな、見晴らしのよい、おだやかな土地柄であり、こんなふうに長い谷のつづくところは珍しいのだと、どこかで読んだことがある。古代にはこの長い谷には葬礼の地をつくらず、神聖視されたのだとも。「こもりく」と呼ばれた土地だ。「こもりく」とは「隠国」と書く。大和の国から見えない、隠れた土地という意味。こもりく、聖なる土地。

榛原(はいばら)で駅を降りるとヒヤッと寒い感じがする。これは、長い谷をのぼってきた気のせいなのか、本当にそうなのか。このあたりまで来ると、見晴らしのいい大和盆地から風景がガラリと変わって、山間の土地という印象になる。大阪から一時間かからないくらいで着くのだが、すっかり別世界だ。

榛原駅から「菟田野(うたの)」行きのバスに乗って十分、上井足(かみいたり)のバス停で降りる。陽光ファームの看板と、平飼いタマゴの自販機の前で、迎えにきてもらうのを待つ。駅から近いのだなという印象で、車であれば十分ちょっとで農場までつくと思う。平飼いタマゴはもちろん陽光ファームさんのタマゴ。待っている間にも「もう売り切れかいな」と自販機タマゴの前をウロウロする夫婦がいたり。自販機の前でもの珍しげにあたりをキョロキョロしているわれわれの前を「こんにちはー」と元気に女子中学生が自転車の二人乗りで川沿いの道に降りて行った。迎えにきてもらった車はもちろん軽トラ。二人乗り。というわけで、荷台に乗せてもらうと、軽トラは農園への坂道をのぼっていく。つく前からはやばやと気分は農場。

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